【AIDS IS NOT OVER】


個展のために制作した特殊造形作品をご紹介します。「背中の毛を剃ってメッセージにした状態」をリアルに表現したアート作品です。

個展「特殊造形×haco」(9/25~10/19)の様子はこちら

このたび展示をさせていただいたコミュニティセンターhacoは、福岡を中心とするゲイ・バイセクシャル男性向けに、HIV・AIDS等の予防啓発活動を行うLAF(Love Act Fukuoka)さんが運営されているオープンスペースです。本作品は、このhacoというスペースに対し、特殊造形というアート表現がどのような形で関われるかを意識して制作しました。


aids is not over今回の作品でも「遊び心」と「クオリティ」にはこだわり、おっさんが濃い背毛を剃って文字にするようなおバカなセンスを、特殊造形でリアルに表現しています。作品へのこだわりとしまして、福岡のゲイの方にご協力いただき、実際に背中から型を取らせていただきました。背中の型取りの後いくつか工程を経て、最終的に毛の流れなどに注意しながら一本一本丁寧に植毛をしています。

aids art背中のメッセージは、haco運営スタッフの方々からのアドバイスで「AIDS IS NOT OVER」(エイズはまだ終わっていない)としました。このメッセージは2014年世界エイズデー国内啓発キャンペーンテーマにもなっています。今もエイズの流行と対策が続いているのだという現実、そして全ての人がHIVとともに生きているのだという現実を伝えています。僕自身、このメッセージを聞いた時は「NOT」という否定の響きにドキッと不安な気持ちにさせられましたが、制作過程でいろいろと調べていくうちに、国内でのゲイコミュニティにおけるHIV・AIDSの予防啓発の重要性や、差別などの人権問題への取り組みの大切さを改めて知ることとなりました。「偏見は持っていない」と漠然と思っていた自分にとって、今回の制作はとても意味のあるものになったと思います。

aids is not over (chin)皆さんは世界で、または日本で、あるいは身近な地域でのHIV・AIDS問題の現状についてどれほどご存じですか?
普段AIDSとは全く関わりの無い方々にとっても、この作品がHIV・AIDS問題を改めて意識するきっかけになればと思います。
そしていつか、この「NOT」の部分に毛が生える(植毛する)日が来ることを願っています。

aids is not over (side)